もう一つの日記
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1月1日(水) |
A Happy New Year! こんにちは。直治です。 年が明けてしまいましたね。 今年はどんな年になるでしょうか。 僕の今年はどうなってしまうんでしょうか。 今日の日記からでも、今年の波乱を予感させることでしょう。
初日の出は見れませんでした。 3時過ぎまで起きていたんですが、やっぱり眠くて寝てしまいました。 朝起きたのは9時くらいです。 姉が起こしに来ました。 それから、お雑煮を食べ、親戚の家を巡り、天皇杯のサッカーを見る、というなんとも正月モードの一日を過ごしました。 だから、日記に書くようなことは何もないかと思いきや、そうは問屋がおろしませんでした。 明日の5人で行く初詣に、紗耶が来れなくなったそうなんです。 風邪を引いたそうで・・・。 ご愁傷様です。 まぁ、それはいいんですけど、問題は今日届いた年賀状にあります。 僕宛てに届いた年賀状は、全部で18通。 多いやら少ないやら・・・。 その大半が友達からでした。目にとまったのが健次からの年賀状。 「明けましておめでとう。直治。年賀状にこんなこと書く必要もないだろうけど、占い師の件はこれが届く頃どうなってるんだろうな。 今の段階ではまだよく分かってないけど、おそらく狙いはお前だと思うんだ。 解決を早めようと努力はしてるんだけど、新年に入ってもまだ解決してなかったらすまん。 怪我のほうは大丈夫だ。 いい年になることを心より祈ります。今年もよろしく。」 1月1日にこの年賀ハガキが届いたということは、12月25日までに投函したってことになります。 この年賀状は、健次が事件について口を閉ざす前に書かれた信頼性の高い年賀状ということになります。 怪我は大丈夫って書いてあるので、車にやられた後に書いたものでしょう。 気がかりなのは占い師が僕を狙っている、と書かれている事です。 そういえば、一番初めに占い師に会ったとき、健次は僕をかばって占いを受けました。 狙いは僕? 理由は? 目的は? よく分かりません。 年賀状の中には、なんと、担任の都知事こと裕次郎先生からの年賀状もありました。 「あけまして、おめでとうございます。 ナオジの去年の成績は大してよくなかったから、 今年はよい成績になるよう、今以上の頑張りを期待しています。 今年も一年あなたにとってよい年になりますように。 追伸。早く彼女作りなさい」 やかましいわい。これで担任というのが信じられません。 そして、一番気になった年賀状。 「明けましておめでとうございます。 早速本題なんですが、占い師のことはもう触れないで下さい。 これ以上関わると君に危害が加わるでしょうから。 今まで占い師が何か君に危害を加えてきましたか? 周囲で何か色々なことが起こっているとしても、君自身には手を出してはいないはずです。 でも、これ以上詮索することは得策ではありません。安全なのは今だけです、 これから先は保証できません。悪いことは言いません。 このまま全てを忘れてください。それがあなたにとってもいいことだと思います。 ちなみに私は話題の占い師ではありません。あしからず」 差出人の名前はありませんでした。もちろん住所も書かれていません。 僕は頭がおかしくなりそうでした。 「全ての人を信用するな」 健次の書き置き手紙。 「お前を狙っている」 健次の年賀状。 「全てを忘れてください」 差出人不明の年賀状。 今日はもう寝ます。 何も考えないで、明日の初詣を楽しむために、考えるのは一時中断します。 それではまた明日。 |
1月2日(木) |
行ってきました、初詣。 いろんな人と会いました。 楽しめたおかげで、今日は占い師のことについてあまり考えずに済みました。
予定通り、初詣は近所の神社に、僕、健次、良則、円花の4人で行きました。 健次の怪我は、包帯も取れ、もうほとんど見た目には分からないくらいになっていました。 正月なので神社はメチャクチャ混んでいました。 紗耶はやはりまだ風邪を引いているようで、健次がしきりに気にしていました。 おのろけ話はもう充分です。ミミタコです。 その紗耶への健康祈願のお守りを買い、神社への初参拝を済ませ、おみくじを引きました。 結果を見て笑ってしまいました。 ここのおみくじはよく当たるらしいんですが・・・。前途多難です(笑)
健次のおみくじ結果 「恋愛ごとに難あり。第三者現る、注意せよ」 ・・・・・ 末吉
円花のおみくじ結果 「何事にも慎重に、精進すべし。報われる時期、早々なり」 ・・・・・ 大吉
良則のおみくじ結果 「無難な一年。周囲の変化、惑うこと無し。頼まれ事、多し」 ・・・・・ 吉
僕のおみくじ結果 「悩み事、苦難、多し。しかし、早々に解決。後に快晴」 ・・・・・ 大吉
健次の恋愛は、きっと円花により波乱が訪れるのでしょうね。 おみくじ、実に当たりそうです(笑) 何だか良則は幸の薄い一年になりそうですね。かわいそうに・・・。 と、言いながら一番かわいそうなのは僕かも知れません。 何が大吉ですか!? 悩み事、苦難が多いの? う〜ん、それは当たってるかもしれません。 それでどうして大吉なのか謎です。解決するのかも謎です。
帰りがけいろんな人に出会いました。 まずは、僕に年賀状を出した担任の裕次郎先生と、熱愛報道中の恋人、冴子先生を発見。 スクープです! 向こうからやってくる姿を先に僕たちが見つけ、急いで顔を隠しました。 どうやら気がつかなかったようです。 と思って後ろを振り向くと、二人ともそこにいました。 「新年早々嫌なとこ見られちゃったなぁ。内緒にしといてくれよ」 と裕次郎先生。冴子先生は、 「あら、私といるのがそんなに嫌なことだったかしら」 と、皮肉交じりに裕次郎先生に微笑みかけていました。女って怖いです・・・。 それにしても冴子先生は綺麗です。 僕の古典&現代文の成績も上げてくれたし、僕の中でも冴子先生の株は上がりっぱなしです。 髪型とか、身長、ルックスは結構似てると思うんですが、性格が円花とは月とすっぽんです。 いや、比べてしまうのも失礼なくらいです。 やはり外見で判断してはいけませんねぇ。
部長と実咲さんにも会いました。 「あら、直治君じゃない?」 先に見つけたのは実咲さんのほうでした。 「あ、どうも。あけましておめでとうございます」 「よう、ナオジ。元気だったか」 とは、部長のセリフです。どうやら仲良くやっているようでした。 うらやましい限りです。新年早々カップルで初詣なんて。 先生と会ったことを伝えると、二人して驚いていました。 「言うなっていわれたでしょう!」 と円花には頭をはたかれましたけど(笑) 部長と実咲さんは、そのまま参拝しに行きました。もしかしたら、先生カップルと鉢合わせしちゃうかもしれません。 そんなこんなで、今日は楽しく初詣ができ、一日を楽しむことができました。 もちろん、誰とも占い師のことについては話をしませんでした。 新年早々に、嫌な思いをしたくなかったし、話しても何の解決もないだろうと思ったからです。
とにかく、家に帰ってきて、新年の特番を見て、今日はそれでお終い。 こうして日記を書いています。 紗耶は風邪大丈夫かなぁ。 |
1月3日(金) |
これはどういうことでしょうか? 占い師もどきが出てきました。
それは一通の年賀状でした。 昨日、1月2日は年賀状が休みだったんですけど、今日届いた年賀状に気味の悪い年賀ハガキがありました。 内容はこうです。
「直治君。こんにちは。1月1日に届いたと思うんだけど、例の差出人の名前のないハガキは私が出したものです。 この年賀ハガキはその後に書いたものです。 理由は、1月1日のハガキの内容を訂正するためです。 あの手紙には、君が手を引くようにと書いてあったんだけど、どうやらもうそうもいかなくなってきたみたい。 できれば、早急に解決してください。 でないと、君にも危害が加わることになるかもしれません。 もう、時限爆弾のスイッチは押されてしまったんです。 占い師。 あの人は、君の知ってる人に間違いありません。 そして、私も君の知っている人です。 どうして、君を助けようとしているのか。なぜ、いろいろ知っているのか。 きっと疑問に思うことでしょうけど、今はそのことは忘れてください。 今、重要なのは、自分の身の安全を確保すること。 占い師の謎を突き止めること。 今はただ、そのことだけに専念してください。 解決の参考になるかどうかは分からないけど、ちょっとしたキーワードを示します。 先入観。 真実。 虚像。 まぁ、分かりづらいと思うので、具体例で示しましょう。 例えば、私は占い師ではありませんが、あなたの未来を占ってあげましょう。 1月2日の午後、あなたは友達4人で初詣に行きます。 そこで、先生のカップルにあうでしょう。 その後、先輩とその彼女に会います。 どうですか? 私の言っていること当たっていますか? これが届くのは1月3日くらいでしょうから、おそらく、当たっているかどうかすぐにわかりますよね。 しかし、これは占いでも何でもありません。 これが私にできる精一杯のヒントです」
そう書かれていました。 いかがなものでしょうか? 僕はそれからしばらく悩みつづけました。 とりあえず、この内容を信用するとしたら、この手紙の内容は一体何を指し示しているのか。 先入観。虚像。真実。とは一体何なのか。 1月3日に届くためには、最低でも12月28日までには年賀状を出さなければ届きません。 ということは、この手紙はそれ以前にかかれたもの? いいえ。そんなはずはありません。 きっとこれこそが、先入観です。 しばらく考えたんですが、結局説明のつく答えは導き出されませんでした。
夜になり、気になって例の本を読み返しました。 そこには、気になることが書かれていました。 どうやら、リラックスした状態でなければ催眠効果は得られないそうです。 つまり、あかの他人が催眠術をかけさせようとした場合、普通の人は緊張をしてしまって、とてもリラックスできない。 そんな人を催眠状態に追い込むことはできないみたいなんです。 これが何を意味しているか分かりますか? 部長のセリフを思い出してください。 「テニス部部長で靴を買いに行くところまでぴたりと当ててしまった」 そう。このセリフです。 このセリフによって、部長は完全に占い師を信じ込んでしまったんです。 実咲さんもそうです。 「華道部の仕事も大変ですねぇ」 これです。 これで、「あぁ、この人はなんでもお見通しだ。この人を信用しよう」となるんです。 信用しきってリラックスした二人は、まんまと占い師の思う壺だったんですね。 こうして、二人を催眠状態に持っていったのでしょう。 ふむふむ・・・。 どういうことなのか、なんとなく読めてきました。 いまからもう一度頭を整理して考えたいので、続きは明日書くことにします。
おやすみなさい。 |
1月4日(土) |
今日は気になる年賀状はきませんでした。 でも、差出人不明のあの年賀状を一体誰が書いたのか、分かった気がします。
昨夜、寝る前に考えた結果を言います。 まず、年賀状の件。 年賀状って消印が押されないんですよね。 これがポイントでした。 ポストに出したものも、直接郵便受けに投函したものも、変わりはないんです。 要するに、あの年賀状は1月2日の夜に書かれて、次の日に僕の家の郵便受けに直接投函されんだと思います。 だから1月2日に僕が誰と会ったのか分かるんです。 ポイントはもうひとつあります。 なんでその日の僕の行動を知っていたか、ということです。 このことから推測できることは、差出人は1月2日の僕の行動を知ることができる人物で、かつ僕の家を知っている人物。 絞られてきました。 でも、今は誰が年賀状を出したかはあまり問題ではありません。 先入観。 年賀状の差出人はこのことを教えようとしたんだと思います。 常識や人から聞いた話を除外して考える必要があるんです。 占い師についても・・・。 僕の前に現れた占い師。 とりあえず、これは存在するのは事実です。僕自身が会ってるんですから。 問題は、自分が体験していなくて、みんなから聞いた話です。 部長の話の疑問点から行きましょう。 歩いていたところを呼び止められて、テニス部部長を言い当てられた。 さらに靴を買いにきていることも当てられた。 普通に考えたらありえません。 だとしたら、部長が嘘をついている? そうかもしれません。でも、そうじゃないかもしれません。 そこまで考えたとき、僕はある仮説が閃いてしまいました。 ひょっとしたら、占い師は事前にそのことを全部知っていたのではないか。 テニス部部長であることも、靴を買いにきていることも知っていた。 だから言い当てることができた。 言い当てられたから、部長はその占い師のことを完全に信用して、催眠状態に陥った。 そして、条件を守れなかった部長は心理的負担から病に倒れた。 ふむ、納得できる考え方です。 でも、そうすると次の問題が・・・。 テニス部部長ということと靴を買いに街まできていることを、どうやって知ることができたのか。 そこからはじき出される答えは、占い師が部長の知り合いである可能性が高い、ということです。 そして次に実咲さんの話について。 彼女が華道部であることを言い当てられたのも、同じ理由でしょう。 そして彼女も部長と同様に心理作戦にまんまとはまり、運命の人の予言を真に受けた。 結果、部長に一目惚れしてしまった。 そういうことだと思います。 つまり占い師は、実咲さんを知っている人物で部長のことも知っている人物。 さらに、円花の話。 紗耶がクリスマス前に告白すれば、幸運が舞い降りる。 そして、実際、紗耶は健次と付き合うこととなった。 いや、ちょっと待ってください。 本当にそうなんでしょうか? 本当に紗耶と健次は付き合ってるんでしょうか? 健次と円花から聞いたからそう思っただけで、実際は付き合っていないのかもしれません。 待てよ・・・。 そういうことか・・・。 年賀状の差出人が誰だか分かりました。 やっぱり占い師じゃなさそうです(笑) 明日、直接問いただしてみましょう。何かわかるかもしれません。 あ〜あ。結局今日は家から出ることができませんでしたよ。 早く解決しなくてはいけませんね。 それではまた明日。おやすみなさい。 |
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