もう一つの日記

 

第四週(後半)

 

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第三週(後半)   第四週(前半)   第四週(後半)   第五週(前半)

 

第五週(後半)   第六週(前半)   第六週(後半)   第六週(終焉)

 

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1月5日(日)

こんばんは。直治です。

年賀状の差出人・・・。意外な展開に・・・。

 

僕は今日、差出人不明の年賀状を出してきたと思われる人物に会ってきました。

「おはよう、久しぶり。風邪の調子はどうだい?」

「え? 風の調子?」

「風邪をひいてたんでしょ? だから一緒に初詣にいけなかったんでしょう?」

僕は紗耶の家の玄関で話をしていました。状況が飲み込めていない様子の紗耶。

それどころか、この子は僕が誰なのか分かっているんでしょうか?

話が長くなりそうだったので、僕は彼女の部屋にお邪魔させてもらいました。

誤解しないで下さいね。もちろん彼女が、そうしろって言うからしただけであって、強引に押し入ったわけではありません。

「それで直治君。どういう要件で私の家まで来たの?」

彼女の話し方は円花と違って、実に女らしく思えました。

そもそもどうして、あんなオトコ女とこの純真無垢な女の子の仲がいいのか分かりませんが・・・。

「えっと。どこから話したらいいんだろうなぁ。

まぁ適当に話すから聞きたいところあったらその場で言って。

実は僕ね、変な占い師に付きまとわれてるんだ。

なんだか厄介な事件に巻き込まれたといってもいい。」

僕は事件の一部始終を彼女に説明しました。彼女はその間うなずく以外はずっと黙って、真剣に僕の話に耳を傾けいてました。

「それで、その年賀状の差出人なんだけど、もしかしたら紗耶、君じゃないかな。と思ってさ」

「何で私と思ったの?」

「僕たちが2日に初詣に行った事実を知ってるのは、あの時会った部長、実咲さん、冴子先生、都知事、それと僕たち4人。

そして、その時来るはずだった紗耶。

その中であの年賀状を書いた人物はというと、まず、事件のことについて口を閉ざした健次は除外されるね。

部長は僕の家を知らないから、郵便受けに投函することができない。

あとは勘かな?

実咲さんは占い師信じてる人だと思うし、先生たちは無関係っぽいでしょ。

同様に良則も。

なんとなく円花かなぁとも思ったんだけど、もし円花だったらそんな回りくどいことしないで単刀直入に言ってくるだろうしね。

で、ここからが本当の当てずっぽうなんだけど。

健次が口を閉ざした日と、健次が紗耶と付き合っているって証言した日が一緒なことを、まず不思議に思った。

そして、僕はそれ以降紗耶とはあっていない。

初詣は風邪で休んでたし。それが怪しく感じた。

だから、もしかしたら、健次に事件のこと口止めしてるのって紗耶なんじゃないかなぁ、とか思ってさ。

仮定の話だと思って聞いて欲しい。

健次が僕に真相を告げようとしたあの日、健次は君に呼び出された。

そして、君は占い師のことについて今はまだ僕に黙っているように、と健次に懇願した。

おそらく喋ってはいけない何らかの事情があってのことだろう。

だから、円花にも協力してもらって二人が付き合っていることにして話をはぐらかした。

そして、同様に君も何らかの事情があって、まだ僕に真相を話すわけにはいかなかった。

しかし、事態は一変して、僕に危険が迫っていることが分かり、年賀状の手段を使って事件の解決を急かした。

と、僕は推測したんだ。」

紗耶はそこまで黙って聞いて、すぐに発言しました。

「なるほど。大体事情が分かった気がするわ。色々と聞きたいことあるんだけど、その前に弁解させてもらってもいいかなぁ」

「ん? 何?」

「私、健次君とは付き合ってないよ」

「だろうねぇ。実際は付き合ってはいなかった。そういうことにしておこうって話になったんでしょ?」

「いや、そうじゃなくて・・・。健次君とは会ってないし、そもそも健次君って円花と付き合ってるんだよ。

友達の恋人を取るような真似はできないよ。そりゃ確かに私も健次君っていいなぁ、とかは思ったけども・・・。」

正直、驚きました。

紗耶は健次とは付き合っていないという事実はなんとなく分かってはいましたが、まさか、円花と付き合っていたなんて。

「それともうひとつ弁解ね。どうやら私は初詣を風邪で休んでいたことになっているようだけども、そうじゃないよ。

最初からその事実知らなかったわよ、初詣があるなんてこと。なんで円花、初詣あること隠してたんだろう?」

疑問に思うのはもっともです。何だか話がどんどんややこしくなっていく気がします。

紗耶のことを信用するのならば、とりあえず彼女は年賀状の差出人ではないようです。

つまり、一応、まぁ彼女のことは信用してもいいんじゃないかなぁ、という前提で紗耶と話を進めていきました。

その後、紗耶から聞かされた事実に僕は何度も目を丸くしました。

紗耶は占い師に遭ってはいないし、もちろん占いの診断も受けていない。

12月29日に円花と遊んで、その時に健次と付き合っていることを聞かされた。

1月2日(初詣の日)は家族と他県の親戚の家に遊びに行っていた。

ということらしいんですが、これって明らかにあの二人の証言とは異なります。健次と円花です。

といっても、事件について口を閉ざした後の健次の証言と、ですけど。

「これってどういうことなのかな?」

紗耶は首を傾げました。もちろん僕だって答えられるはずはありません。

「さぁ。でも、紗耶が嘘をついていないなら、健次と円花は二人で照らし合わせて僕を騙そうとした、ということになるね。

それと、もうひとつ。

紗耶は、僕にあの年賀状を送りつけてきた人物ではない、ということもね。」

「それは私を信じて欲しいわね。だって本当にやってないもん。」

といった彼女の顔は、どこか愛くるしい表情でした。そこが円花とは違うところなんでしょうね。

「紗耶じゃないとしたら、一体、年賀状を僕に届けたのは誰だったんだろう?」

何気なく言った僕の一言を、驚いたことに、彼女は的確にそして論理的に答えてくれました。

「それって、多分実咲さんって人じゃないかなぁ。さっき直治君が言ってた通り、健次君と部長さんは違うと思う。

先生たちが占い師のことについて知っているなんて事は多分ないでしょ?

だとしたら、円花か実咲さんって人だと思うんだよね。円花は確かに怪しいとは思うんだけど、多分円花じゃないよ。

あの子は今年の年賀状は全部Eメールで送ってるはずだもの。

私のとこにも来てたしね。

まぁ、わざわざ直治君のためだけに、バラで年賀状を買いに行った、ってのも考えらないこともないけど・・・。

さすがにそこまではしないと思うのね。

それより、やっぱり実咲さんの行動が気になるのよね。

占い師に言われたから部長さんのことが気になり始めた、まではいいとしましょう。

でも、その部長さんのことが気になりすぎて、わざわざ直治君の家まで来るかなぁ、普通?

そして、ご対面した後、すぐに付き合ってるっていうでしょ?

なんかひっかからない?」

僕が渋い顔をしていたようで、彼女は更に発言を付け加えました。

「確かにこの占い師の一件に関して言えば、引っかかる点は他にも数多く存在するんだけどね。

私としてはその点が一番引っかかったの」

「というと?」

「実咲さんは、直治君の家の場所を知るために、敢えてそういう行動をとった、とは考えられない?

直治君の真似するわけじゃないけど、仮定の話として考えてね。

実咲さんはホントは直治君に用があった。でも、それを繋ぐ接点は何もなかった。

実は、既にその時部長さんと実咲さんは付き合ってたんじゃないか、と思うの。

そこで実咲さんは、部長さんに頼んで一芝居打ってもらった。二人が付き合うまでのストーリーね。

こうすることで、何気なく直治君に近づくことができた。

そして、直治君に何の疑問ももたれることなく、家の場所を知ることができた。

あの本についても、多分同じ人の仕業ね。つまりは実咲さん。

図書館でたまたま直治君を見かけて、彼女は心理学入門の本を、事件を解くヒントとして、そっと机の上に置いていった。

恐らく、他の人でなく直治君にこの事件を解決してもらいたかったから。何故か、は不明よ。

早く直治君に解決して欲しい、っていう同様な理由で二通目の年賀状が送られた。

でも一通目のときは、どういうわけか直治君には事件を解決してもらいたくなかった。

だから一通目の年賀状には、事件に関わるな、と書かれていたんだと思うの。」

なるほど。一理ありますね。

そもそも実咲さんの一目惚れだと言っても、いきなり両想いになることなんて・・・ないともいえないか。

でも、さすがに数日で付き合うまでには至らないでしょう。

よくよく考えてみると、所々ピンと来るものがあります。

部長と街に出かけたとき、彼はあの喫茶店でメニューも見ずに「とり五目チャーハンセット」を注文していました。

以前に来たことがある証拠だとは思っていましたが、もしかして実咲さんと来たことがあったのかもしれません。

なにせあの洒落た喫茶店を部長みたいな男が“開拓”するわけありませんからね。女性と来た、と考えるのが妥当です。

とすると、紗耶の言うこと、実に当たっているように思えます。

それに一通目の年賀状。

あれがポストに投函されのは、差出人が健次の事故の事実を知る前(多分12月23日くらい)だったのではないでしょうか。

差出人は、おそらく健次の事故を知って、僕に事件の解決をさせようと決意したのでしょう。

心理学の本や二通目の年賀状で様々なヒントを与えてくれました。紗耶の言ったこと、辻褄合ってます。

それにしても、今まであまり紗耶とは話したことなかったけど、実際にこうやって話してみて、少なからず印象が変わりました。

単なる大人しい純真無垢な女の子、という外見的な印象からは想像もつかないくらい、しっかりした考え方の持ち主で、

自分の意見もちゃんと発言できています。そのギャップに、ちょっとビックリしました。

 

結局、紗耶との対談では占い師の目的までは分かりませんでしたが、

彼女のお陰で事件の鍵を握る重要人物が誰だか分かりました。

おそらく実咲さんです。

明日は早いもので冬休み最後の日となってしまいました。

その冬休み最後の日、実咲さんに会ってきます。

そして、なぜか紗耶も僕についてくるそうです。

乗りかかった船だからどうのこうの、と言っていましたが、二人を乗せた船が沈没しないことを切に祈るばかりです。

今日は長くなってしまいましたね。

また明日。おやすみなさい。

 

 

 

1月6日(月)

皆さん。こんにちは。

直治です。実咲さんに会ってきました。

いよいよ明日から新学期がスタートします。

 

実咲さんの家の場所は、電話で部長に聞いて分かりました。

部長は、実咲さんの家の場所を聞いてくることに疑問を持ったらしく、

どういうことか聞いてきましたが、僕はうまくはぐらかしてその場を切り抜けました。

僕は紗耶を連れて、実咲さんの家を訪問しました。

実咲さんは、僕が来たことに驚いたようでしたが、紗耶の姿を確認すると更に驚いているようでした。

部屋が散らかっているらしく、彼女は外で話をしよう、と言いました。

僕たち3人は、実咲さんの家からさほど離れていないファミレスまで行き、話をしました。

紗耶が軽く自己紹介をして、3人ともコーヒーを注文した後、実咲さんが話を切り出しました。

「で、なになに? どうしたの今日は?」

と、実咲さんは僕に話し掛けてきましたが、僕が口を開く前に、紗耶が真剣な面持ちで話し始めました。

「早速で申し訳ありませんけど、実咲さん。本題に入らせてもらいます。

占い師にお会いしたようですけど、どこでお会いしたか覚えていますか?」

不躾な紗耶の質問に、実咲さんが怒り出すのではないか、と内心僕はハラハラしていました。

しかし、実咲さんは怪訝そうな表情すら見せず、話を続けました。

「えっと、そうねぇ。たしか、隣町の街中だったとは思うけど。ごめんなさい、ちょっとよく覚えていないみたい。」

「夜でしたか? 昼でしたか?」

「夕方くらいじゃなかったかなぁ。どうして?」

実咲さんの質問に答える代わりに、紗耶は事件について語り始めました。

「今、直治君が大変な状況にあるんです。

その占い師と名乗る人物のせいで、彼の友人である健次君や私の親友の円花という子まで、被害を被っています。

健次君に至っては、怪我まで負ってしまったんです。昨日、直治君が私の家に来て、事件の一部始終を話してくれました。

事件に占い師と名乗る人物が、大きく関わっているのは明白なんですが、

一体誰が何の目的で事件を起こしているのか、現段階では皆目、見当もつかないんです。

そこで、実咲さんの意見を聞きたいと思いまして。」

「どうして私なの?」

間髪入れずに紗耶は答えました。

「それは、実咲さんがこの事件に大きく関与しているからです。

あなたは最初、直治君に何も行動を起こして欲しくなかったから、

一通目の年賀状に「事件に関わるな」という内容を記したんじゃありませんか?

しかし、健次君の事件を耳にして事態は急展開した。

どうしても早急に事件を解決しなければいけない、ということに気がついた。

だから、直治君が図書館へ行ったとき、ヒントとしてあの本を置いていった。

更に、年賀状の2通目で先入観や虚像などのキーワードを示して、直治君に気づかせようとした。

1月3日に届いた2通目の年賀状には、1月2日の内容が示されていたんだから、

1月2日の内容を知っていて、さらに直治君の家の場所を知っている人物でなければできないわけです。

実咲さんとテニス部の部長が付き合ってるのって、実はもっと前からだったんじゃありませんか?

直治君の家を知るためのややこしいお芝居をするため、利用した。

だから実咲さん。あなただと思ったんです。」

紗耶はそこまで一気にまくし立てました。それには実咲さんも、たじろいだ様子でした。

「ちょ、ちょっと待ってよ。私は一切それとは関係ないわよ。一体何なの? 心理学の本とか年賀状とか?」

すかさず紗耶が言葉を放つ。

「やっぱりそうですか。もういいんですよ、そんな芝居は?」

「え?」

「私、わざと“本”のことは曖昧に言ったんです。“あの本”ってね。

私の口からは“心理学の本”なんて言葉は出てきていません。

でも、実咲さんは今、はっきりと言いましたよね? “心理学の本”、と」

これには実咲さんのみならず、側近の僕も驚きの表情を隠せませんでした。

「・・・・そっか。まいったなぁ。まさかこんな簡単な方法で暴かれちゃうなんて。ミステリーの常套手段ね」

彼女は観念したようでした。僕は紗耶の手際のよさに、またも感嘆していました。

しかし、昨日の紗耶とはどこか様子が違うような気がしていました。なんと言うか、焦っているような、苛立っているような。

実咲さんは、自分の発言にふと思いついたように、おかしな事を呟きました。

「あ、そうなんだ。ミステリーっていうのは大丈夫なのか」

そんなセリフが聞こえたのか聞こえていないのか、紗耶は黙っていました。

その意味不明な発言には敢えて触れず、変わりに僕が発言しました。

「一体、実咲さんの目的は何なのか。何が起こっているのか。

占い師を名乗る人物が誰なのか。

全部教えていただけますよね?

僕たち、そのためにわざわざここまできたんです。」

観念したのだから答えてくれるだろう、と思っていた僕に、意外な答えが返ってきました。

「・・・・ダメ。言えないの・・・」

「は? どうして? ここまで来て、まだ隠しとおすつもりですか?

年賀状の件だって、心理学の本だって、もう観念してるんでしょ?」

「ごめんなさい。直治君。最初は悪気はなかったのよ。まさかこんなことになっちゃうなんて・・・。

今では本当に悪いと思ってるわ。ごめんなさい。だから早く・・・・あれをどうにかして欲しいって思ってるの。

あなたたちの言う通り、私がやったことよ。

あの・・・心理学の本も、・・・・年賀状も。

お願い。あの・・・・・!! やっぱりダメみたい。

言えないのよ、やっぱり」

紗耶に負けず劣らず、その時の実咲さんの様子も、なんだかおかしかったんです。

言葉が詰まっているみたいでした。

出かかっているのに単語が出てこない。そんな詰まり方でした。

でもやはりこちらのほうは、紗耶とは違い明らかに様子がおかしい。

「え? 実咲さん? 言えない、ってどういうこと? 何が起こってるの? どうして、そんな・・・?」

紗耶も実咲さんを見て、うろたえているようです。無理もないでしょう。

「ごめんなさい。言えないの。」

同じ事を言っています。大丈夫でしょうか? と半分もうあきらめかけていたら

「言えないの。言わないんじゃなくて、言えないのよ。言えないことがこんなに苦しいなんて・・・」

そう言ったかと思えば、ふと思い出したかのように実咲さんは手帳とペンを鞄から取り出しました。

白紙のページを開いたので何か書くのかと思ったら、手が震えるだけで何の文字も紙に描かれることはありませんでした。

「やっぱり、これでもダメなのね。直治君、心理学の本の107ページを見てちょうだい。きっと・・・・」

彼女はやっとの思いでそれだけ言い残した。

僕たちは、それ以上実咲さんに突っ込んで聞く気にはなれませんでした。

実咲さんは今から部長と会う約束をしているらしく、僕たちはファミレスで別れました。

二人きりになったファミレスからの帰り道、紗耶は僕に言いました。

「昨日、円花と電話で話をしたの。その時も今の実咲さんみたいに、やっぱり 「言えない」 って言われた。

どうも、本当に何も言えないみたいね。「言わない」 じゃなくって」

なるほど。実咲さんを前にした焦燥感というのは、円花を助けたいという思いからくるものだったのでしょう。

「大丈夫だよ。107ページで分かると思う。多分」

 

家に帰って、心理学の本を読み返しました。107ページです。

そのにはキーワードとして、こう書かれていました。

「表現言語の制限と心理」

 

今からもっと詳しく読みたいと思います。

明日から三学期が始まります。

もちろん健次とも会いますし、円花や紗耶とも会います。部長もです。

いつになったら解決するんでしょうか。

僕の心も余裕がなくなってきました。

とりあえずおやすみなさい。

 

 

 

1月7日(火)

こんばんは。直治です。

新学期が始まりました。

流空さん。誕生日おめでとうございます。

さてさて、日記を書きましょうか。

 

新学期は何の変化も無く、普通に始まりました。

今日は、始業式と、あとちょっとした行事だけで、すぐに学校は終りました。

健次とも会いましたが、いたって普通に振舞っていました。怪我は大丈夫のようです。

僕も、事件のことについては何も触れずにいました。

午後に部活がありました。もちろん部長とも顔を合わせましたが、こちらも何事も無かったかのような振る舞いです。

部活が終わり、僕は弓道部の紗耶の帰りを待ちました。

昨日の107ページの内容を話さないわけにはいかなかったからです。

これが事件の鍵を握るってことは、さすがの僕にだって分かりますから。

本当に重要なことでした。

紗耶が来ました。

僕は、107ページに書かれている内容をかいつまんで話しました。

「人間心理によって、言葉に制限を与えることができるんだって。

たとえば、完全に信頼している人物から、催眠術をかけられたりとすると、その人はもう術師からの制限を受けてしまう。

鶏の声しか話せない、と術師が唱えれば、鶏の声しか話せなくなるし。

人間の体に関する事柄について話せない、

と術師が唱えれば、被術者は、その人が認識している人間の体についての事柄を話せなくなるんだ。

キーワードとして、足、手、顔、耳、骨、肉、内臓。そういったものだと思う」

「うん、なるほどね。

それが今回の場合は、自分に術をかけてきた催眠術師についての事柄は、話すことが不可能になる。

という制限を与えられたわけね?」

「そうなんだ。おそらく実咲さんは、それを言いたかったんだと思う」

紗耶は、しばらく考え込んだ後、こう言った。

「直治君が実際に直接会った占い師。

もしかして、実咲さんかもね」

「・・・え?」

残念ながら、僕は彼女の思考についていくことができませんでした。

 

今日は、これくらいにしておきます。

学校が始まってちょっと疲れ気味のようです。

でも、おそらく、事件は近日中に解決しそうです。

だって、僕の理解を超えた紗耶がいるから(笑)

もう、僕にはわけがわかりません。

 

 

 

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