もう一つの日記
第二週
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10月10日(木) 晴れ |
日記を書き始めて今日で丁度一週間が過ぎた。 今日のこと、何から話したらいいだろうか? 今日の俺はまともな日記が書けるのだろうか? この先、なんかとんでもないことになりそうなんだ。 会話とかもそんなにはっきり覚えてるわけじゃないけど、大まかなとこは書けてると思う。 まぁいい。表現が違っても雰囲気で大丈夫だろう。 流空。これ見て、もし、やばかったらこの日記載せなくてもいい。 君が判断してくれ。
今日は専門科目が3と4コマにあり、必須だったので、みんな出席しなければいけなかった。 だから、3コマ目と4コマ目の間の休憩時間にヒロキと会うことが出来た。昨日のメールのことでヒロキに問いただしてみると、 「あぁ、あれね。間違いだったから気にしないでくれ。疑ってごめんな。マナミちゃんとうまくやれよ。デートいったらしいじゃん」 と話をはぐらかされた。 「間違いだったってどういうことだ? 何が間違いだっていうんだ? 俺のメルアドはどこで知ったんだ?」 彼は嬉しそうに一言だけ、こう言った。「マナミちゃん、お前に気があるぜ」 それを言われたとき俺はどんな表情をしていたことだろう。自分でも想像つかない。かろうじて 「答えになってないぞ」 とだけ言って、ヒロキの前から去っていった。自分の席の隣にはユウジが座っている。 「何話してきたんだ? いつから仲良くなったんだよ、お前達」 俺は少し不機嫌だったが、ユウジには作り笑顔で話した。 「別に何も話してないよ、ほんとに。何も話してくれなかったし。ヒロキから、昨日メールがきたから、そのことについて聞いてただけだよ。あっ、ヒロキに俺のメルアド教えたのはユウジ?」 「そうだと思うけど・・・? 合コンで飲み会の会場につく前にひろきにお前のメールアドレス聞かれたから教えといた。何かまずかったかなぁ?」 「あっ、いや、ぜんぜんそういうんじゃないんだけど・・・。」 そうか。ヒロキはユウジに聞いたんだ。まぁ、考えてみれば当たり前だろな。俺とヒロキをつなぐ掛け橋はユウジだけだからね。 ・・・・・・しかし、やはりヒロキのメールには疑問が残る。あれは一体なんだったんだろうか? 4コマ目が終って、すぐにヒロキの元へ駆け寄った。やっぱり知りたい。ユウジは教室を後にしていた。 彼は、しかたないなぁ、という観念した表情で俺に話し始めた。 「俺さぁ。分かってると思うけど、あやなと既に付き合ってるんだよねぇ。昨日、あいつんち行ったんだ。でさぁ、シャワー浴びてくるって言ってね、シャワー行っちゃったさ。部屋にヴィトンのハンドバッグが置いてあって、投げ捨ててあったのかは知らないけど、中身が半分出てた状態だったのね。親切心から俺が、散らばってた中味全部拾って、バッグの中にしまってやってたわけよ。えらいだろ? で、そこで見ちゃったんだよね」 「何を?」 「お前さんの写真を・・・」 え? 俺の写真? アヤナさんが? なぜ? 「それで、話聞こうと思ってショーマにメールだそうとしたんだよ。あっ、メールアドレスはユウジから聞いてたんだよ。飲み会でショーマが来る前に。合コン来た女がブサイクだったら、逃げる予定だったからな。男同士でもメール交換は必需品よ。合コンの常識だ」 ・・・・・・・どんな常識だよ、しらねぇよ。まったく・・・・・。 「ショーマにメール打ってる途中で、あやながシャワーから出てきやがってさ。ビックリしちゃってクリアボタンじゃなくて送信ボタン押しちゃった。だから、途中で話切れてただろ?」 俺はうなずいた。メール途中で切れてたのはそういうことか・・・。 「で、そこからはもう口喧嘩よ。なに勝手に人のバッグ見てるのよ、だの。どうしてお前がショウマの写真持ってるんだよ、だの。そのあとは、お互いの話聞いて喧嘩治まったんだけどな。どうやら、その写真は別にあやなのものじゃなかったらしい」 じゃ、一体誰のだよ。 「あやな昨日の夕方バイトがあったんだけど、そのバイト先の従業員用着替え室に落ちてたらしい。それで、これショウマ君じゃないかって思って、俺に確かめさせようとしてたらしいんだ」 昨日の夕方? バイト先? 居酒屋のか? 何でそんなところに、俺の写真が? 「しかもなぁ、お前と一緒に女も写ってたぞ」 女? 誰だ? マナミさんとは撮ってないしなぁ? 「なんだか、ショウマも高校生っぽかったぞ。ブレザー着てたし。女も俺の記憶にないやつだ」 ヒロキはそこまで言って、6時からバイトがあると言い帰っていってしまった。聞きたいことあったら聞いてくれ、だとさ。 答えれるような質問なら聞いてるよ、既にな。 高校時代の写真・・・・・。女と写っている写真・・・・。 ヒロキから聞いたことを、なぜかユウジには話す気にはなれなかった。というか、少し怖かった。 居酒屋でバイトしてる人で俺を知ってるのは・・・・・・・・4人だ。 ユウジとマナミさんとユウナさんとアヤナさん。その中で高校時代の俺の写真を持つことが出来るのは、ユウジだけだ。 なんで、ユウジはその写真を持ってたんだ? 聞きたくなかったのかもしれない。またもめるのがいやだったのかなぁ。 もう、今日は何もかも考えたくなくなっていた。 無心でガソリンスタンドのバイトをこなした。 意外と忙しくて、いろいろなことを考えさせる時間を俺に与えてくれなかったのが、逆によかったのかもしれないな。
家に帰ってきて、肉体的な疲れか精神的な疲れからかわからないが、ベッドに横になったらいつのまにか寝ていた。 マナミさんからのメールはない。今日はもう、何も考えたくない。 嫌な予感だけが俺を包んで逃がさないでいた。 明日はどうなるんだろう。何も起きないことを祈ります。 |
10月11日(金) 晴天 |
昨日の自分の日記を読みました。掲載したってことは、俺の日記の内容大丈夫だったってことだよねぇ? じゃあ、きっと今日の内容の日記も大丈夫だよね? 俺にはもうわかんないや。 流空。いつもすまんね。 今日も内容チェックしてくれよ。 まずかったら掲載しないでくれ。
昨日の疲れからか、今日は風邪をひいたみたいに体がだるかった。一応、講義は全出席した。 見た目からも俺の体の具合が悪いと分かるようで、ユウジから心配され、 ヒロキからも頑張れメールが届き、あと2人くらいのクラスメートが励ましてくれた。
結局、ユウジにはあのこと聞けないままでいた。 どういうことだったんだろうな? 俺の元彼女が好きだったのかな? もしかしたら、あいつ俺のこと妬んでるんだろうか? でも、高校時代からユウジも彼女いたしなぁ。 付き合い始めるの俺より早かったしな。う〜ん。やはり、これは聞くべきことだったのかもしれないな。
今日、バイトがなくて助かった。多分、病院行きだっただろう(笑) 講義が終ってすぐに家に帰り、布団に入った。しばらくしてメールが来た。 「あやなから聞いたけど、なんだか風邪ひいたんだって? 大丈夫?」 マナミさんからだった。 アヤナさんから聞いたってことは、ヒロキがアヤナさんに話して、そこから伝わったってことだろう。 「う〜ん。なんだか体がだるいんだ。やっぱり風邪かも・・・。今日バイトなくてほんとによかったよ」 そのメールを送ってすぐのメールだったから、てっきりマナミさんからのメールだと思っていた。 しかし、違った。 「なんで、返事くれないの? 私ずっとあなたの返事、待ってたのに」 え!? アドレスを確認すると、見覚えがない。・・・・・・いや、見覚えがある!! 先週のメールだ! 俺が間違いメールだと思って放っておいたメールのアドレスだ。 無造作に並んだ18桁の英数字と記号。暗号かとも思われたが、それでもわからない。 少し怖くなった。 一体誰だ。こんなことするのは。 ほんとに単なるアドレス間違いなのか、それとも誰かわかっててわざと送ってくるのか? どちらにしろ、このまま放っておくわけにはいかない。 返信しようと思った。が、少し躊躇して、かわりにマナミさんにメールを送った。 「間違いメールが届くんだけど、こういう場合どうしたらいいでしょうかね? なんかほっとくと怖いんだけど・・・。何でメールの返事くれないの? とか、待ってたのに・・・、とか。返信するの意外と勇気いるよね、こういうのってさ」 彼女はバイト中なのか、その日は返事をくれなかった。 ふと考えが浮かんで、俺を物凄い不安が襲ってきた。 知らない人が俺の個人情報を入手している・・・・・・・? だが、すぐにその考えは消えた。 そんなはずはないからだ。いや、ないと思い込みたいだけなのかもしれない。 メールのアドレスを変えたのはつい1ヶ月前の話。その間に変更を知らせた相手は14人。色々な登録に際しても旧メールアドレスで行ってきたはずだ。だから、漏れるとは考えにくい。 知っている人がわざと送ってきているか、たまたまどういうわけか、俺と誰かのメールアドレスを間違えてしまっているか、だ。 後者であって欲しい。やっぱり不安はぬぐえないな。 明日、ユウジに相談してみよう。 |
10月12日(土) 快晴 |
流空。なんか大変なことになってきた。 怖いです。どうしたらいい? とりあえず、日記は書きます。
ユウジに相談しようと思ったけど、今日が土曜日だということをすっかり忘れていた。 大学の講義がない。 昨日からの風邪はほとんど治りかけていた。だるさはない。 昼間にメールが来た。 俺は驚愕した。思わず声を漏らしてしまった。 「変わった名前だよね。翔馬っていうんだぁ? いい名前だね。私その名前気に入ったよ。ねぇ、私の名前、覚えてる?」 携帯を持つ手が震えてきていた。血の気が引くとはこのことだと思う。 昨日のメールアドレスだった。 なぜ・・? なぜだ? なぜ俺の名前が分かったんだ? 誰だ? お前は一体誰なんだ? 怖くて返信メールなんてできるわけがなかった。 それから1時間後にマナミさんからメールが届いた。 「昨日、メールできなくてごめん。バイトだったから。 間違いメールなの? ほんとに? だったら、相手には「間違ってますよ」って送らなきゃダメだよ。 きっと向こうだって返事がないと不安になるよ。」 昨日のうちにそのメールを受け取っていたら、素直に聞き入れられただろう。しかし、今は違う。 間違いメールではないことを確信した今は・・・。 マナミさん、「間違いメールなの? ほんとに?」ってどういうことだろう? 疑われてるのかな、俺? まぁ、結論から言ったら、間違いじゃなかったんだけど。 誰かに相談しなきゃ! 誰がいい? やっぱりユウジか? いや、ちょっと待てよ。なんだろう? なんか昨日から続く言い表せない不安が募る。 そういえば、写真のこともあったしな。ゆうじには言い出しにくいか。写真? ・・・・・・・・なんか関連してるのか? まさかなぁ。 だとしたら、一体どうかかわってきている? 結論付けするのはよくない。 今日の俺には、もう既に考える術は持ちあわせていなかった。
身近に起こっていることに、俺自身ついていけなくなってきた。 このもやもやを早く取り除きたい。 明日、思い切って誰かに相談しよう! 流空、この日記やっぱり掲載してくれ。 また、明日。 |
10月13日(日) 晴れのち曇り |
流空。元気してるか? 俺もようやく元気取り戻したぜ!! 変なテンションで日記書いてるけど気にしないでくれ。壊れてるわけじゃないから。 もやもやは残ったままだけど、友達って素敵なもんだな。 味方がいると、なんだか勇気が湧いてくる。 気分がいいまま、この日記を書くことにしよう。
相談相手はヒロキにした。彼の家に行き、色々と話をした。 パンツいっちょ、寝ぼけ眼で玄関開けた瞬間は、相談相手を間違えたと思って引き返そうと思ったけどね(笑) 意外とこいつ、和み系かも・・・ (^-^;)b 家に上がるとお茶を入れてくれたが、変な色をしていた。 やつはごくごくと、さも美味しそうに飲んでいたが、俺は飲めなかったです。まだこの若さで死にたくなかったから(T_T) たわいのない話から始まり、徐々に確信に迫っていった。 最初ヒロキに相談することを躊躇していたが、高校も一緒じゃないし、居酒屋でバイトもしていないし、メールアドレスも違うこの男が今までのことと関係があるとはとても思えなかったので、思い切って相談してみた。 誰かに話すだけで自分の気持ちを落ち着けようとしていただけで、それほど彼からアドバイスをもらうことは期待していなかった。 しかし、ヒロキは俺の話を真剣に聞き、相談に乗ってくれた。 見た目、ヒロキってそんな真面目に答えるタイプじゃないのにね(笑) 写真のことでヒロキはアヤナさんに聞いてくれていたらしい。 アヤナさんがバイトに入る前に誰が入っていたか、をシフト表で確認したらユウナさんだったらしい。 目に付きやすいところに落ちていたから、もし、ユウナさんが来たときに写真があったなら気づいたはずだといっていた。 それはどういうことだろうか? 彼女が写真の持ち主だったってことかなぁ? なぜ? (最近、疑問詞が多いよね俺) しかも、最近ユウナさんの様子がおかしいらしい。昨日、アヤナさんとシフトが一緒で入ったときの休憩時間、なんだか探し物をしているようだった、と。写真のことは、以上! メールのことになり、ヒロキはなんだか考え込んでしまったようだ。まぁ、少し重い話だしね。 最初は、彼の考えも俺のものと同じで、誰か知り合いが俺を怖がらせようとしてやっている、と思ったようだ。 名前もメールアドレスも一致しているんだから、それ以外考えられないハズだ。この日記にも俺の名前は出ていても、メールアドレスは公表されていないし、もし出ていても、それは携帯電話のアドレスではなく、PCのアドレスだろう。 と、いうところまで俺の考えと一致していた。 俺がトイレ借りて入ろうとした瞬間に「あっ!!!」と大声をあげるヒロキ。思わずもれそうになる俺(汗) てっきりトイレに女が隠れているから驚いたと思っていたが、ぜんぜん違った。ヒロキは聞いてきた。 「もしかしてなんだけどさぁ。携帯電話の料金って自分で払ってる?」 「ん? ああ。払ってる。トイレ借りるな」 最初、なんで彼がそんなことで大げさに声を張り上げたのか、全く分からなかった。 トイレから出てきた俺に、彼は別案を提してきた。内容はこうだ。 みんな携帯電話の料金は払っているから、月に一度は携帯電話の領収書が届く。 本来ならば取って置かないといけないんだろうけど、大抵の人の場合はためておくのも邪魔になるからすぐに捨ててしまう。 そこで、ごみ箱行き。結構みんな夜のうちにごみ袋出す人がいるが、そのごみ袋の中には色々な個人情報が入っている。 携帯電話の領収証から、携帯電話の番号。はがきや手紙からは住所や連絡先、それにメールアドレスなども・・・・。 女性なら、使っている生理用品の種類や、いつセックスしたのか、というところまでもわかってしまうらしい。 全てストーカーの手口だ。 俺の場合に当てはめてみると、そこから俺の個人情報が漏れたことも十分考えられる。 誰かが俺の出した手紙を捨てて、そこから俺の住所と電話番号、あるいはメールアドレスの情報を入手したのかもしれない。 もしくは、俺の出したごみ自体から情報を得たのかも知れない。ストーカーの案なら辻褄があう。 俺の名前を漢字で知っていたのもうなずけるし、「私のこと覚えてる?」っていう意味不明なメッセージもストーカーならではだ。 ストーカーかぁ。考えになかったことはないが・・・。まさか自分の身に降りかかろうとは考えてもみなかった。怖い。 でも、知らない人なだけに、何か妙な安心感があった。しかも、みられている、というような視線も今のところ感じない。 しられているのは名前とメアドのみ。実害はない。これからなのかもしれないが・・・・・。 とにかく有力な案が急浮上したものだ。 しかし、びっくりだな。こんなに真面目とは縁のなさそうなやつからそんなこと聞けるとは。 というか、こいつ実はストーカーやったことあるんじゃないか? ってくらい詳しかった(笑) この前特集でやってたんだよ、って必死で否定してたけどね。まぁ、ルックスいいからそんなことする必要もないと思う。 気分がよかったので帰りがけに一口だけあのお茶を頂いたが、物凄くまずかった。飲むんじゃなかった。
まだまだぜんぜん解決になってないけど、ユウジじゃないと思うことが出来てなんだか気が楽になった。 もやもやは解消できなかったけど、色々と光が見えてきた。 明日あたり、ユウジにも相談しようかなぁ。ストーカーのこと。 居酒屋のことも直接聞いてみよう! 今日はマナミさんとはメールのやり取りはしなかった。 そういえば、水曜日ってユウナさんの誕生日だった。う〜ん。微妙だ。 |
10月14日(月) |
今日はあまり日記を書く気力がない。だから、かいつまんで話そうと思う。日記というのは本来こういうものかもな。 もし補足して欲しいとこあったら、明日にでも俺んとこいってくれ、流空。
講義前にユウジに写真のことを尋ねたら、知らないと答えた。 誰の仕業か?と興味を示してきたが、あまりユウジを巻き込みたくなかったので「知らないならいいんだ」とだけ答えておいた。 少し不満そうだった。 講義中、例のアドレスからまたメールが届いた。 「無視しないで。私をこんな目にあわせたんだから。償ってよ」 講義が終わり、ヒロキが俺の元へ来た。 かわりはないか、と聞いてきたので、さっきのメールのことを話した。 こそこそと話しているのがユウジには気に食わないようだった。 やはり、ユウジには話しておいたほうがよさそうだ。 しかし、彼はすねてしまったらしく、聞きたくない、の一点張り。 講義が全て終って、家庭教師から帰ってきたらマナミさんからメールが来ていた。 「ところで間違いメールの件はどうなった? ちゃんと解決したの?」 非常に答えづらかった。「まだ返していないんだ」とだけ返信した。いきなり携帯電話が鳴った。ワン切りだった。 着信履歴を見てみると、公衆電話と表示されていた。一体誰だろう?
ベッドに入り、状況を整理した。 居酒屋に落ちていた俺の高校時代の写真。ユウナさんの奇怪な行動。その頃から始まったいたずらメール。ストーカー。ワン切り。 俺はこのまま何も動かないままでいいんだろうか? まずいんじゃないだろうか? 明日から、ユウジとヒロキに相談してみよう。メールの女も、気になる。 メールの女? どうして女って断定できる? もしかしたら男かもしれないじゃないか。 何のため? 本当にストーカーの仕業なのか? もしかしたら何か理由がある? やっぱり居酒屋のあの写真と関係があるのか? 俺の過去と関係があるのか? ユウジ、お前のこと本当に信用していいのか? 今日の返事を信用していいんだな? でもだとしたら、俺の写真は居酒屋には・・・・。鍵を握るのは。 ・・・・・・・・・・ユウナさんだ。 じっとしていられなかった。 俺は電話をかけた。マナミさんに、だ。そこからユウナさんの電話番号を聞きだした。 なんだかマナミさんは不思議に思っていたようだが、俺はあえてユウナさんの電話番号を知りたがる理由を言わなかった。 ストーカーとかの件では、やっぱり彼女に心配かけさせたくなかったから。 ユウナさんに電話した。 どうして俺が電話番号を知っているのか聞いてきた。理由を答えて、俺から質問を切り出した。 「俺の写真って覚えてますか?」 直球勝負に出た。数秒置いて「・・・・・写真って?」 俺はアヤナさんから聞いたことを全て話した。「写真は記憶にないんですか?」 「・・・・・・・・・・」黙ったままだった。俺は続けた。「最近、変なメールが来るんですよ。ストーカーみたいに。 写真と何か関係あるかもしれないんです。答えてくれませんか? ユウジからもらったんですか? どっかで拾ったんですか?」 彼女はゆっくり口を開いた。 「あの写真は・・・・。私のじゃない。裕二くんのでもないの。あれはね」 後悔。現実なのか? 聞かなけりゃよかった。なんでその名前が? どうして? 「マナミのものなの」 「・・・え?」 俺にはそれ以上の言葉はいえなかった。追い討ちをかけるように彼女はこう言った。 「しかも、合コンやるって決定する前から既に持ってたのよ、彼女」 俺の試行回路が崩壊した瞬間だった。 もうこれ以上は今日は日記を書けない。理解が出来ないから。 書けたら続き明日書きます。 |
10月15日(火) |
日記は書くことにしました。なんだか義務のような感じがするので。 今でも手は震えています。謎だらけのまま、とうとうここまできてしまいました。
昨日のユウナさんの話には続きがあります。 ユウナさんは、どうしてマナミさんが持ち主だとわかったんでしょう? 理由は簡単です。 マナミさんが、バイト先で写真をごみ箱に捨てたとこをユウナさんが見ていたからです。 なんだか深刻そうな顔をしていたらしいです。 それが丁度、合コンの前の日だったそうです。 そのときにはまだ、ユウナさんは写真を見ていませんでした。 ユウナさんは合コンの日、バイト先に忘れ物をとりに帰ると、ふと、ごみ箱に目が向きました。 いけないことだと思いながらも、ごみ箱を探ってしまったそうです。 写真は簡単に見つかりました。 そして、俺の写真を見てしまったそうなんです。 一緒に写っている女性は、おそらく高校時代の俺の元彼女でしょう。 それ以来、捨てるにも捨てれなくて、もっていたそうなんです。 が、先週、ロッカーにしまったはずなのになくなっていたそうです。 多分、閉めるときに勢いがよすぎて落ちてしまったんでしょう。 それを、次の日に来たアヤナさんが発見した。 話の流れは分かりました。しかし、マナミさんの行動がやはりわかりません。
今日の話に戻ります。 ユウジに昨日ユウナさんから聞いたことを全部話しました。 一人で抱え込むには現実として重かったので。 ユウジは真剣に聞いてくれましたが、何か考え込んでしまって、口には出しませんでした。ストーカーのことに関しても全部話しました。 ストーカーの話、彼の顔色が少し悪くなったように感じたのは気のせいでしょうか? きっと気のせいでしょう。 俺が話すばかりだったので、気分がよくなかったんでしょう。 どう思うか尋ねてみると、 「写真のことは知らなかった。まなみちゃんが? 今のところ、まだなんとも・・・・・」 と、答えるだけでした。どうやら、ユウジが写真を渡したのではなさそう。 俺はどうしたらいいか、と尋ねると黙り込んでしまいました。 そのあと、ユウジは「大丈夫だよ、心配要らないよ」と言っていました。 ほんとうなんでしょうか? ガススタでのバイト中もいろいろなことを考えていました。 マナミさん、どうして・・・・? 俺の写真なんか持ってたの? 何でストーカーなんて真似するの? まてよ。マナミさんがストーカーなわけないじゃないか。だって、メールアドレスぜんぜん違ったじゃないか! そうだよ。俺の写真もってたからって、マナミさんとストーカーを結び付けちゃいけないよ。 彼女はたまたま俺の写真を持ってただけで・・・・・・。本当にそうか? 俺は都合のいいようにこじつけようとしてるだけかもしれない。
今日もメールがきていた。例のアドレスからだ。 「私が誰だか分からないの? 酷い・・・・」 とだけ入っていました。もう一つ、これはマナミさんでした。 「最近、メールくれなくなったね? どうしたの? 私何かしたかな? 昨日の悠菜の電話番号もなんで聞きたかったのか分からないし・・・。最近翔馬くんおかしいよ」 そのメールをみて、気づいてしまった。衝撃だった。 その瞬間、携帯電話が鳴り響いた。急いで電話に出る。 「・・・・・・・・・・・・」 無言だった。俺は思っていることを言った。 「マナミさんでしょ? どうしてこんなことするの? わかってるよ。マナミさんがやってるってことは」 「プツンッ・・・・」 その瞬間、電話は切れた。 着信履歴でみてみると、公衆電話からだった。 やっぱり彼女だった。ストーカーも、写真も。 そう、最初にメール見て気づくべきだった。いや、その頃の浮かれてた俺には気づくことなんて無理だっただろう。
教えてない「しょうま」の漢字がメールで使われていたことに・・・・・・。 |
10月16日(水) 晴れ時々雨 |
今日はユウナさんの誕生日だ。しかし、祝ってやることはどうやらできなさそうだ。 精神状態が狂ってるから・・・・。でも、日記は書くことにします。長いです。
最初はメールだった。 「私のこと、覚えてないの?」 次は電話。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 バイトから帰ってくると、俺の郵便受けに入っていたハガキ。 「マナミカラテヲヒケ サモナクバ・・・・」 と、ワープロの字体でそう書かれていた。 俺は、恐怖でそのハガキを思わず落としてしまった。 誰かが見ている気がした。恐ろしくなって、落としたハガキを手にとりすぐに自分の部屋(アパート)に逃げ込んだ。 家に入っても震えは治まらなかった。 鍵をかけて、しゃがみこんだ瞬間にまたメール。 「あなたが悪いのよ。何で気づいてくれなかったの?」 怖い。とうとう本当の恐怖が俺を襲ってきた。 カーテンも閉め、窓の施錠も確認した。 すぐにユウジに電話したが、出なかった。何度かけても出なかった。 一人で家でうずくまるしかなかった。恐怖におののきながら・・・・。
落ち着くことが出来たのは、自分で注いだお茶を2杯飲んでしばらく経ってのことだった。 テレビをつけると、見慣れたバラエティー番組が目に映る。 こっちの世界はこんなに現実的なのに、どうして、このテレビの中はこれほどまで希望に満ちているのだろう。 いや、むしろこっちの世界のほうが非現実的なのかもしれない。 俺は、なぜかそのテレビ番組を見て、冷静に物事を考えられるようになった。 非現実的な世界が、俺を冷静にしてくれたのかもしれない。
ふと、思い浮かんだあのハガキ。 ・・・・・・マナミカラテヲヒケ・・・・・・ その言葉を思い返したとき、閃いてしまった。 俺は大きな勘違いをしていたのかもしない。 マナミさんはストーカーじゃない。 ストーカーは明らかに俺をマナミさんから離そうとしている。 公衆電話からの電話でも声を聞いていない。俺はストーカーについて何も知り得ていない。 相手は女性じゃないかもしれない。最初は、「私」とか「好き」とか言う言葉から女を連想してしまったが・・・・。 ストーカーは男だ。そう考えるのが妥当だ。 そいつはマナミさんに惚れている。 異常なまでに・・・・・・。 だから、最近知り合ったばかりの俺がマナミさんとデートしたことが許せなかった。
気がついたときには既に、俺はマナミさんに電話をかけていた。何の考えもなしに。 3、4コール目で彼女は電話に出た。 「はい、もしもし」 声を聞くのは久しぶりだった。優しくて、なんだか心が和らいだ気がした。 しかし、今はそんな悠長なことは言ってられない。 「あの・・・・・しょうまです」 「あっ、しょうまくん!?」 「ちょっと話してもいいかなぁ?」 と平生を装いながら喋った。 「あ、ごめん。今、ユウナの誕生パーティーやってるの。遅くなるかもしれないけど後でかけなおしてもいい?」 そういえばそうであった。今日はユウナさんの誕生日だった。 ユウジがそう言っていた。バイト先でユウナさんの誕生パーティーやるんだと。 「あ、そっか。ごめん、忘れてた。いいよ。明日、俺またかけるから」 といって明日、俺からかけなおすことにした。
今日はユウナさんの誕生パーティーかぁ。バイト仲間が集まってユウナさんを祝っているらしい。 確かユウジとマナミさんはバイト入ってなかったから、パーティー参加できたんだったな。 アヤナさんはかわいそうに、今日に限ってバイト入っていたらしい。 何もアヤナさんバイトしてるところで誕生パーティーやらなくてもいいのになぁ。 他に店なかったのかね。
今日は非常に疲れた一日でした。 実は今でも思い出すたびに手が震えます。 早くどうにかしなくちゃ。 明日はユウジに頼んで家に泊めてもらおう。 一人でここにいるのは危険だ。 家の場所もばれているんだ。何かしようと思ったらすぐにでもやつは・・・・。 今だって、どこで見ているか分からない。ただひたすら怖がっている俺。 やっぱり今日中にマナミさんに電話で話しておけばよかった。 明日の日記が書けるだろうか? 明日かぁ・・・・。俺の明日ってどうなるだろう? |
第三週(後半) 第四週(前半) 第四週(後半) 第四週(終焉)
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