もう一つの日記

 

「翔馬の日記」番外編

〜もう一つの話〜

 

 

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ある夏の日のメール

よう流空、久しぶり、というべきなのかな?

あれからそんなに経っていないけれど、毎日書いてたからね。

今回俺(翔馬)が書いているのは最初と最後のコメントだけなんだけど、差し支えなかったら、例のように上げてくれるとありがたい。

もちろん、この文も必要に応じてアップしてくれ。

それじゃ、また。

 

 

みなさん、こんにちは、翔馬です。

しばらく休むつもりだと以前書いたんだけど、ちょっとした友人のつてで、趣向が面白い文章をもらったので、ここに載せてもらおうと思い、本人の許可を得た上で送りました。

とある一日をもとにしたプチ小説です。

俺(翔馬)自身が書いているわけではないので、実際とは異なる部分が多いとは思うけど(正直、赤面する描写が個人的にはあった)、そこが『面白い』と感じてもらえれば幸いです。

 俺からはこんなところで。

 文末で、また会いましょう。

 

 

 

翔馬の小説 〜いつも特別な日〜

 

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暦も11月半ばにさしかかり、朝晩には白い息が出るようになる季節。

駅前の木々は赤や黄に色を変え、人が服を重ね着るように、道は葉の衣をまとっていた。

いつのまにかすっかり高くなった空を見上げて、真奈美は目を細める。

良い天気だ、と彼女は思った。同時に、そんな感慨とはしばらく無縁だった自分に気付いて驚いた。

待ち望んだ出会い。膨らむ不安。やりきれない現実。持て余した、想い。

彼女は目を閉じて深呼吸をする。

駆け抜けるような1ヶ月だった。ただ走るのに必死で、前しか見えなかったのかもしれない。

周りが見えるようになったという事は、ようやく少しは余裕ができたという事だろうか。

まぶたを上げると、電車がホームに入っていくのが見えた。しばらくして改札口に軽い人波ができる。

その中に待ち人がいた。

黒のジャケットに細かいチェック柄が入ったハイネック、濃い茶のスラックスと靴。

なるほど、と思って真奈美はくすりと笑った。バイト仲間の予想は当たっていたようだ。

彼のアドバイスに従った服装をしてきて正解だった。

彼と目が合ったので、真奈美は微笑んで手を振る。彼は手を振り返して、駆け寄ってきた。少し照れたように口を開く。

「おまたせ」

「おはよう、翔馬くん。まだ待ち合わせ時刻10分前だよ」

「でも待たせたのは確かだし」

「私、待つのは嫌いじゃないもの」

真奈美の返答に、翔馬は苦笑しながら頷いた。呆れたのかもしれない。いや、実際呆れもするだろう。

彼との再会を、真奈美は丸2年も待っていたのだから。いや、ひょっとしたら、もっと前からだったろうか。

それこそきっかけが思い出せないほどに。

「……どうしたの?」

翔馬は真奈美から視線を少しそらせながら言った。どうやら、思ったより長い時間彼の顔を見つめていたらしい。

「ううん、何でもない。行こっ」

翔馬の仕草に口元をほころばせながら、真奈美は彼の手をとった。

 

 

 

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